最近になってようやく親父のメールアドレスを入手した。

 

これまでは、会えば会話をする程度で、わざわざ電話やメールをすることはほとんどなかったが、息子が生まれたことで、出産報告であったり宮参りの日取りを決めたり・・いろいろやりとりの機会が増えたこともあって、Cメールでは文字制限があり面倒だという理由で、何となくアドレス交換することになった。

 

偏屈な親父が一体どんなアドレスにしてるのかと興味があり見てみると、「bokunenjin(ぼくねんじん)」と書かれていた。気になるあまり調べてみようと「ぼくねんじん」とキーボード入力すると、「朴念仁」と変換された。

 

朴念仁(ぼくねんじん)????

 

意味を調べてみると、「無口で愛想のない人」「物の道理が分からない人。分からず屋。」のことをいうらしい。

 

「ははあーん、なるほど!」瞬時に親父の顔が浮かんだ。

 

推測にはなるが、その昔まわりから「朴念仁」というアダ名で呼ばれていたのだろう、どうせ親父のことだから愛着があるのか、はたまた戒めの意味も込めて「bokunenjin」をメールアドレスに使用したのだろう。

 

誰が名付けたか知らないけど、「朴念仁」とはうまく表現したものだ。

 

思い返すと、最近もこんなやりとりがあった。9月に予定している宮参りに関するやりとりにおいて、9月の吉日に全員で集まろうと話を進めているにも関わらず、母親だけを上京させると言うのだ。理由は以下の通り。身内だから親父らしいで笑えるが・・・である。

 

かつて肩肘はる職だった反動か、老齢の今、ネクタイに革靴の公式な場は何とか敬遠したい、どうも億劫で…

 

本音は些細なコダワリなだけなんだが、それに、赤ちゃんの時期はどうもオトコには遠くから眺めるだけで、扱いがたい。その意味でも女の方が良いと…

もう少し大きくなったら、ラフな格好でぶらっと出向き、初対面する機会を待ち望み、ねらっている。

 

二人揃って…の考えは、恥ずかしながら、貧乏育ちには抵抗がある。自分のフトコロが傷む傷まないの問題ではなく、経済観念に抵触する…哀しいサガ…

 

これにはもうガッカリするというか、呆れかえってしまった。

 

「わかったよ。日程が決まったらまた連絡するわ。ただ、交通費はこっちでもつから大丈夫。」とだけ返信をした。

 

すると、丸1日が経過してから、こんなメールが届いた。

 

宮参りのことだが、両方が揃って出向く方が、世間的には常識というか賢明なのかもしれんなぁ、と考えたりしている。又、宮参りの後、両家での会食などもするのが一般的なんかもしれん、と…?

 

オレは、年甲斐もなく、そのようなことに疎いと言うか、あんまり頓着しないタチの「変わり者」やから…

 

オレ個人のことではないので、オマエの方で、二人揃って出向く方が適当と考えるなら、オレは、親の義務と考えて、そうするから、遠慮なく言ってくれ…

ある意味、こんな機会は、度々ないし、オレも老いて、世間的にはいつ死んでも驚かれない歳になってるので、いつでも行けると安易に考えず、この機会を逃さない方がいいかもしれん…

それから、交通費の件も、心配ご無用!

 

読んだ瞬間、「おいおい、どっちやねん!」とひとり突っ込んでしまった。

どうせ親父のことだから・・・自分のアドレス「bokunenjin」をふと見返し・・・ひとり反省をして・・・でも謝ることは決してせず・・・このようなシラコイ訂正メールを送ってきたのだろう・・・と思った。本当に変わらない。

 

でも、かく言う自分もそんな親父の血が流れていると思うと、ぞっとする。

 

この先もし自覚症状が出てきた時には、すぐさまアドレスを「bokunenjin」に変更し日々自分を戒めながら周囲に迷惑をかけぬよう生きていこうと思う。

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