先日、大阪にて池さんこと、池之上貴裕さんに会ってきた。

 

20代の頃、公私にわたり、いろんな場面で、いろんな刺激を受けた尊敬する先輩のひとりである。

 

1時間足らずの短い時間ではあったが、一緒にプレーしていた頃を勝手に思い出してしまい、すっかり心が火照ってしまった。

 

そもそも、なぜ会うことになったかと言うと・・・

 

先日行われたオービックシーガルズVS富士通をより多くのOBで参戦しようと声かけをしていた時、ふと池さんのことを思い出し、Facebookを通じて連絡をとったことがキッカケ。

 

それから、大阪在住であることは知っていたが、無理を承知で誘ったところ、「ちょっと調整してみる」との返事を頂き、少し期待を寄せながら、池さんからの連絡を待っていたが、結果的にはダメだった。

 

その翌日に、こんなようなメールが届いた。

 

「ひろし、ビデオレター送るわ。誰か撮ってくれるやつおれへんかな。」

 

偶然にも、週末に大阪に行く予定があったため、池さんが土曜出勤の合間に会社を抜け出してもらい、ビデオ撮影させてもらうことになった。

 

久しぶりの再会ということもあり、前日から妙にワクワクして落ち着かない。

 

と同時に、「果たして、ちゃんとメッセージを考えてくれてるんやろか・・」という不安も少なからずあった。

 

迎えた当日、池さんの指定する大阪梅田の指定のカフェへと向かった。

 

カフェに近づくと、窓際の席からガラス越しに歩行者ひとりひとりを目で追っている池さんをすぐ見つけた。

 

久々に会った印象としては、髪の毛が伸びたぐらいで、その他は昔のまんまといった感じ。

 

それから隣の席に座り、老けたとか老けてないとか、肥えたとか肥えてないとか・・ひとしきりどうでもいい話をした後、いま現在の年齢や住まい、仕事内容、家族のこと等・・こと細かに何回も質問された。

 

想定内ではあったが、何度も同じ質問を繰り返されるのに辟易してきた、その瞬間、耳を疑うような言葉が耳に飛び込んできた。

 

「ひろし、なんで俺にビデオメッセージをもらおうと思ったん?!」

 

これもギリギリ想定内ではあるが、さすがにひどい話である。

 

「えっーー!?池さんがビデオレター送るって言い出したんじゃないですかー!!」とすぐさま突っ込んだ。

 

「あっ、そうやったっけ・・」と軽く流すやいなや、現役当時のTシャツを用意してきてくれたことや、土曜出勤にも関わらず、仕事そっちのけで朝からカフェでメッセージを考えていたことを話してくれた。

 

「一体さっきのはなんや・・、なんやかんや言うて、ちゃんと準備してきてくれてはるとは、やっぱり池さんさすがやな〜」と、ぶつくさと心の中で独り言を言いながら、撮影予定地であるマルビルの屋外ベンチへと2人で向かった。

 

到着すると、「よっしゃ、いこか!」という池さんの号令で撮影をスタートした。

 

いつになく不安気な表情だなと思ったら、えらくぎこちないすべり出しだった。

 

これは撮り直しかな・・と思っていると、みるみるうちに、調子を取り戻し、気がつくと、池さん独特の関西弁で話していた。

 

3分程度のメッセージではあったが、3分とは思えないくらいに長く感じた。

 

池さんが現役選手に対して話しているメッセージをiPad越しに聞きながら、現役時代によく池さんが口にしていたことと同じやな・・とか思いながら聞いていると、しみじみとしてきてしまった。

 

こんなようなことを池さんは昔から常に発信してきたように思う。

試合に出てる選手も出ていない選手も・・・

 

チームメンバーひとりひとりが自分事だと思って・・・

 

ほんまに本気か?と自分に問いかけながら・・・

 

1プレー1プレー目の前のプレーを必死のパッチで・・・

ディフェンスは最後までボールを追いかける・・・

オフェンスは笛が鳴るまで最後までブロックする・・・

 

 

「関学出身の池之上貴裕」といえば、90年代にアメフトをやっていた方なら知らない人はいないだろう。日本中の誰もが知っているスター選手。

 

詳しい実績については、自分が下手に記載するまでもなく、ネット叩けば、嫌というほど出てくるに違いない。

 

とにかく強い、そして速い、技の宝庫と言えるくらいテクニックを持ち合わせたラインマンである。

 

それだけではなく、「ディテールへのこだわり」「徹底する力」「継続する力」「諦めない気持ち」「リーダーシップ」・・並べ出したらキリがない。

 

でも、自分が尊敬している点は、あれだけのスター選手でありながらも、決して自分に満足しないこと、おごらないこと。

 

アメフトに対しては、とても謙虚で、絶対に手抜きしない、サボらない。

 

そんな池さんがたまに我慢きらして口にする、「ほんまに本気か?」の一口はどんな言葉よりも重みがあって、緩くたるんだ空気感を一気に引き締める力を持っていた。

 

先日、小学生にフラッグフットボールを教えているOBがとても興味深いことを教えてくれた。

 

小学生達に対して、「必死のぱっちで最後まで諦めずにプレーすること」を教える際、池さんの現役時代の映像を見せたそうだ。

 

それ以来、チーム内では、「必死のぱっちで最後まで諦めずにプレーすること」を“TANK”と呼ぶようになったらしく、“TANK!”というキーワードを聞くと、子供達は必死のぱっちで最後まで諦めずにプレーしようと努めるそうだ。

 

“TANK”とは、池さんがワールドリーグにチャレンジしていた頃のニックネーム。

 

“TANK”

 

大人になろうが、またどれだけ強くなろうが、絶対に忘れてはいけない、必要不可欠なものだと改めて思った。

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