今朝、朝一番で銀行に立ち寄り、いつもとは違うルートでオフィスへと向かっていると、SKIPをいう純喫茶を見つけた。

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デカデカと「CAFFEE」と書かれたのぼりが遠目に見えたので、アイスコーヒーでも一杯飲んで仕事を始めよう〜と心を弾ませ、近づいてみると、薄汚い店構えに薄暗い店内が確認できたため、「一日のはじまりにふさわしくない!」と潔く判断、そのまま通り過ぎた。

 

しかし、怖いもの見たさからなのか、気になる気持ちを抑えきれず、10メートルくらい通り過ぎたところで引き返し、吸い込まれるように入店した。

 

扉を開けると、薄暗い店の奥の方から「いらっしゃいませー」と威勢のいいダミ声のおばちゃんが小走りに姿を現した。

 

「おしぼりがきれてるんですが、いいですかー」

まったく悪びれる様子もなく、満面の笑みでお水のみを差し出してくれた。

 

そして、自分の顔を覗き込んで、「お客さん、初めてですねー。誰かの紹介ですか?」と質問してきたので、事の経緯を包み隠さず話して、アイスコーヒーを注文した。

そこから、アイスコーヒーを飲みながら、おばちゃんと30分近く話す羽目になった。おかげで、おばちゃんのプロフィールは完全にインプットされた。

 

浅草生まれの浅草育ちのおばちゃんは、製造業を営む家の三姉妹の長女として育ち、32歳の頃に喫茶店をオープンした。営業時間は、月曜から土曜までの朝7時から17時まで。72歳になった今もひとりで切り盛りしてきており、一度も店を休んだことがないとのこと。

 

お客さんはすべて固定客のみ。自分のような一見客は珍しいらしい。浅草の入りくんだ、人気の少ない路地に店があることに加え、この店構えをみて、足を踏み入れるのは自分のような変わり者くらいなのかもしれない。

 

そんなことは、おばちゃん自身も百も承知で、一度来てくれたお客さんが、お客さんを連れてきてくれて、自然と輪が広がっていったそうだ。

 

いまでは、近隣住民はもちろん、浅草にある会社や工場に勤務する人、近隣の会社や工場の経営者や商売仲間などが定期的に足を運んでくれているそうだ。感心するのは、お客さんとの会話をよく覚えているということ。

 

ホントお客さんに育てていただいて、なんとか40年間やってこれ程るのよ、一度も流行ることはなかったけどね。でも、潰れることもなかったわーと、ひとり大笑いしながら話してくれた。

 

続けて、店先のボロボロになったテントを指差しながら、「あのテント、ひどいでしょ!?たまにテント屋さんがやってきて、テント交換を提案してくれるけど、馬鹿なふりして、テント変えたらお客さん入りますかー?って言ってやるのよ。違うわよねー!」と。

 

朝とは思えないくらいのテンションで、どうでもいい話をしたかと思ったら、人生や商売についてのアドバイスをしてくれたり・・。あまりに参考になる話なのでメモをとりはじめたら、どうでもいい話がはじまったり・・。朝からちょっと調子が狂ったところもあるが、胸いっぱいの時間を過ごすことができた。

 

この調子だとまた近いうち店には行ってしまうだろうが、今日時点のおばちゃん語録をメモしておきたい。

 

おばちゃん語録1 いかなる時も他に手を出さないこと

これは、いかなる時も腰を据えて本業をやり続けなさいという教え。おばちゃんが一度だけアルコールを置いたことがあるらしく、その時の経験を交えながら話してくれた。しんどい時期があったらしく、17時以降も店舗有効活用しようということで、アルコールを置いた時期もあるようだ。しかし、本業である喫茶店を朝7時に開けるのがしんどくなってきた時に、毎朝オープンを待ってモーニングを食べに来てくれているお客さんの顔を思い浮かべ、本業をしっかり守り続けることに徹しているうちに好転していったとのこと。

 

おばちゃん語録2 これからは心の商売

これは、ベンチャーリンクがまだ浅草にオフィスを構えていた頃、よく出入りしていた役員の方がオフィス移転する際におばちゃんに捧げた言葉。ひとりひとりのお客さんとの対話、お客さんへの気配りを大切にしてきているおばちゃんに対して、これからは心の商売だから、今のスタイルを絶対に変えてはいけない、これからはおばちゃんのような接客が見直されると話してくれたことをいまも忘れず、日々できているかどうかを点検しながら店に立っているとのこと。

 

その他にも、いかなる時も仕入先を変えないということ、仕入先への支払いに絶対遅れないこと、コーヒーの値段については絶対に変えないということ、エプロンは白色でかつ糊づけ&アイロンでパリッとしたものを使用しお客さんに清潔感を与えるなど・・・。

 

そして、もうひとつ。おばちゃんがオカンと同世代であることを告げた時に、おばちゃんが笑いながら口走った言葉がとても印象に残っている。

 

一方的にペラペラと話してごめんなさいねー。でも、同じことをお母さんが話したらどう?どうせ聞き流すでしょ!?でも不思議なもので、他人だと話を聞くもんなのよ。だから私が代弁しているのよ・・と。

 

ふと、自分のビジネスにも通ずる気がした。社内の人間では言いにくいこと、社内の人間が言い続けてきたけど、伝わりにくいことを明確に代弁することが自分の役割でもあるなと。

 

420円のアイスコーヒー1杯で、いろんなことを教わった朝だった。おかげで、いまも清々しい気持ちでいれる。

これこそが心の商売ってやつなのかもしれないなー。

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