今日ランチタイムに恵比寿にある朝日屋という蕎麦屋に入った。

 

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10年近く通っている散髪屋CUT JOHNの至近ということもあって、以前から何度となく店の前を通りかかることはあったが、興味を示すこともなくスルーし続けてきた店である。

 

以前ブログに書いた「一日一我慢」の一環で、最近は炭水化物を控えめにするようにしている。

 

具体的には、炭水化物を摂取するのはランチのみ、しかも蕎麦が中心という毎日を送っている。

 

そんな中、今日の午後に散髪に行く予定していたこともあり、恵比寿でランチしようとしたが、なかなかピンとくる店もなく途方に暮れていたところ、目の前に「おそば」と書かれた看板が見え吸い込まれるように入店した。

 

創業九十余年というだけあり、店内も店員の格好も含めて、時代劇に出てくるような「昔ながらの蕎麦屋」といった感じだった。

 

どこか薄暗く、こじんまりした店内に加えて、この蕎麦屋で働くために生まれてきたのではないかと思われるような、無表情でどこか鈍臭そうな、文学少女風のメガネをかけた若い女性店員が「昔ながらの蕎麦屋」の雰囲気を助長していた。

 

抑揚の無い声で「いらっしゃいませ・・・」とだけ口にし、あたたかいお茶を差し出してくれた。

 

「ちょっと考えるので待ってください!また声かけます。」

 

メニューを眺めながら、蕎麦を大盛りにする代わりに天ぷらをやめようか・・・天ぷらをつける代わりに普通盛りで我慢するか・・・都合よく考える弱い自分と闘いながら心を鬼にして男の決断ならぬ男のオーダーをした。

 

「とろ天おろしそば
普通盛り」

 

ご想像のとおり、天ぷらを欲している状況下で、最もヘルシーだと思われる「とろろの天ぷら」を選んだ・・。

 

いまの自分にしては上出来ではあるが、「もりそば
普通盛り」と平常心でオーダーできるよう引き続き男を磨い続けていきたい。

 

話を戻すと、女性店員に「とろ天おろしそば
普通盛り」とオーダーをすると、繰り返し確認することもなく、「かしこまりました・・・」とだけ言って奥の方に消えていった。

 

食後に飲み忘れることのないようにと思い、歯医者でもらった薬をテーブルの上に置いた後は、iPadを取り出して、メールチェックと調べものに夢中になっていた。

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そうこうしていると、女性店員が「お待たせしました・・・」と相変わらず抑揚のない声で、「とろ天おろしそば
普通盛り」を持ってきてくれた。

 

「おおっ!なかなかウマそう!!」とひとりつぶやき、つゆを豪快にかけると、一口食べるのを我慢し、とろ天がどんな具合になっているのかを確認すべく、箸を入れて中身をのぞいてみた。

 

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そして、流れにまかせて、とろ天を一口食べては蕎麦をすするというのを繰り返しては、「とろ天のふわっとした食感と蕎麦のコシとが絶妙なコンビネーションやな・・さすがは創業九十余年!」とぶつくさ独り言を口にしながら食べているとあっという間に完食してしまった。

 

そば湯を入れて楽しむ前に、ちょっとあたたかいお茶でも飲もうかと湯のみに視線を向けた時、驚く光景を目にした。

 

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湯のみの横に水の入ったグラスがあるじゃないか!

 

さっき見た時は、たしかに湯のみだけだったのに、いつの間に水を持ってきてくれたんだろう・・・もしや、薬を見て、気を利かせて持ってきてくれたのか・・・とかあれこれ考えているうちに、動揺するあまり肝心の水を飲み干してしまった。

 

そんなことも気にせず、その後も空になったグラスを握りしめ、じわじわとこみ上げてくる感動にひとりしみじみと浸っていると、女性店員が通りかかり、握りしめている空のグラスを確認すると、何を言うわけでもなく、奥へと向かいウォーターボトル片手に出てきて、さりげなく水を注ぎ足してくれた。

 

薬を飲むために用意してくれたということが改めて確認できた瞬間、感動が止まらず、いつもの如くヌケヌケと話しかけようとする自分がいたが、ここはぐっと我慢し帰る際に御礼だけを告げることにした。

と同時に、初対面の段階で風貌だけを見て、「無表情でどこか鈍臭そうな、文学少女風のメガネをかけた若い女性店員」と勝手な先入観を抱いた上に、口数少なく、抑揚のない受け答えをするという断片的な状態を眺めながら、「接客業としての心構えが足りん・・・」などと偉そうに評していた自分がえらく恥ずかしくなった。

 

上手く言葉にすることができないが、「ただただ自分もこんな風な人間でありたい」と心の底から思える最高のランチタイムだった。

ごちそうさま!ありがとう!!