少し前の話になるが、深夜2時過ぎに着信があった。深夜2時過ぎというと、普段であれば、夢の中にいる時間ではある。その日はどうも寝つけず、iPad をいじっているうちにYouTubeスパイラルにはまり、止めるに止められない絶妙のタイミングだった。

薄暗い部屋に着信音が鳴り響く。「オイオイ、こんな夜中に誰やねん。どうせ誰か酔っ払って電話でもしてきたんやろう。」と、ほぼほぼスルーする気持ちで携帯を手に取り画面を見ると、なんと!親父からである。

 

それを見た瞬間、妙な胸騒ぎがした。というのも、親父とは、よほどのことがない限り、電話で会話することはない。ここ最近、ようやくメールでのやり取りがはじまったくらいで、原則は手紙でのやり取りとなっている。

 

つまらないことを考えてしまったおかげで、電話に出るのが遅れてしまったのか、慌てて電話に出たはずなのにもかかわらず、すでに切れてしまった。

 

もしかして、オカンの身に何かあったのではないか。

 

その瞬間、8割近く寝かかっていた脳が一気に覚醒した。あまりの動揺のせいか、そこからまた折り返すのも忘れて、あれこれと勝手な憶測をめぐらせてしまった。

 

冷静沈着な親父ではあるが、どこか気の小さいところがあるので、慌てふためき、深夜にもかかわらず、俺に電話をしてきたのだろう・・。でも、突然気が変わり、発信中にもかかわらず、自ら切ってしまったんじゃないか・・。

 

ふと我に返り、すぐさま折り返し電話をするも留守番メッセージが流れるだけ。その後も何度か連絡をするもつながらない。念のためオカンに電話をするもつながらない。ますます不安が膨らみ、よからぬことを考えるあまり、これまでの家族との人生を振り返りながら涙している自分がいた。

 

そして、朝7時30分頃、再び親父から着信があった。今度こそはと思い、電話に出るも、「プープープー」すでに電話が切れている。その瞬間、自分が想像しているような深刻な事態ではなく、誤発信か何かであることが何となく想像できた。そして、徐々に不安が怒りへと変わり始めたその時オカンから連絡があった。

 

「おはようさん。昨夜何回も電話くれてんなー。ごめんやで。最近スマホに変えはったみたいで、なんか間違ってボタン押してしまったみたいやわ(笑)電話する方法も分からず、ヒロシによろしく言うといてくれって言ってはったで。」

 

正直、笑えない。電話する方法も分からず・・とか言いながら、ちゃっかり2回も電話してるやないか!要らぬ心配させておいて、自ら詫びの電話もしてこない親父に少し怒りをおぼえながらも、親父の性格を考えれば、想定の範囲内ということで許すことにした。

 

それより、親父がスマホに変えたという事実に驚いた。一時はガラケーも解約して、ケイタイ不携帯の生活をしていた親父がなぜスマホに変えたのだろう。

 

恐らく、孫ができたことがきっかけなのだろう。

 

姉の時は、神戸と奈良という距離感にあったため、いつでも会うことができる環境にあった。しかし、東京と奈良ともなると、そう簡単に会える距離でもない。現に、親父はちょうど生後3ヶ月になる孫と一度も会っていない。

 

これまで3ヶ月間はというと、定期的に選りすぐりの写真をデジタルプリントして、ちょっとした手紙を添えて郵送してきている。

 

今回、自分からスマホに変えろと催促した記憶はひとつもない。催促したところで、二つ返事で変えるような人間ではないと諦めている自分がいる。恐らくは、姉もしくは親戚あたりから上手い具合に薦められて、渋々変えたのだろう。皮肉なもので、42歳の息子がガラケーで、74歳の親父がスマホというおかしな状態になってしまった。

 

それならそうと、写真のひとつでも送ってみるかと思い、先日それとなく親父に電話をしてみた。開口一番スマホに変えた件について触れてみたが、親父の口からなぜスマホに変えたかは一言も話されない。新太の写真を送るからメールアドレスを教えてくれという依頼に対して、ようやくメールアドレスを教えてくれるのみ。

 

用件のみの電話を切り、新太の写真を送るも届かない。二度試みるが届かない。届かないはずはなく、設定の問題だとわかりながらも、説明が面倒なので、これまで通り、デジタルプリントした写真数枚と手紙を添えて郵送することにした。

 

一体、何のためにスマホに変えたのだろう。

 

もうひとつ気がかりなことがある。それは、このブログ。親父とオカンのことについてのネタがかなりの割合で盛り込まれている。

 

これまでは、親父もオカンもガラケーでかつパソコン環境もないので、何ら気にもせず、勝手気ままに書き続けてきた。しかし、これから徐々に親父もスマホに慣れてくるだろう。いずれ、このブログに辿り着くこともあるかもしれない。

 

まあ、その時は普段なかなか面と向かって言えないことを、このブログを通して伝えていくことにしようと思う。デジタルとアナログを駆使しながら家族の絆を深めていく・・・なんとなく今風で良いのかもしれない。