11月28日、ある人から突然こんなメールが届いた。

 

「明日から2週間、日本に帰ります。甲子園ボウル出場や長男誕生のお祝いに、ビジネスチャンスがあります。12月6日の夜、あけといて下さい。詳細は、着いたら電話します。」

 

差出人は、通称T.Kこと、河田さん。以前ブログにも書いたが、アメリカンフットボール関係者であれば、誰もが知っている有名人。自分にとっては、リクルートシーガルズ時代の先輩であり、20代のウブな自分にソウルミュージックとダンスを教えてくれた大切な先輩でもある。

 

全体像をきちんと理解せぬまま、T.Kとの半年ぶりの再会と、ビジネスチャンスという淡い期待に胸を躍らせながら当日を迎えた。

 

そして・・・・

 

会場である、とある建物の一室に案内された。そこから目に飛んでくるもの全てがイチイチすごい。驚きの連続。「すごい!」という言葉をどれくらい連呼しただろう。もう途中からは、「すごい!」という言葉を安売りしているかのような感覚に陥り、自粛してしまうほど、とにかくすごかった。

 

そして、テーブルへと案内されると、そこにはある企業の会長ならびに社長、社員数名と、会長のお知り合いの方がすでに席に着いておられた。名刺交換をかねて簡単な挨拶を済ませた後は、場の空気があたたまるのを静かに見守りながら、少しずつ会話に参戦した。時間の経過とともに場があたたまり、ほどよくアルコールもすすみ、会話が弾んでくると、おひとりおひとりがどんな方なのかが徐々に明らかになってきた。

 

それにしても、T.Kはどこでこんな人とのつながりをもったのだろう・・・?

 

ビジネスチャンスでもある、大事な会食なのにもかかわらず、こんなようなことをあれこれと頭で考えながら会話している自分がいた。

 

10年にもわたり、本場であるアメリカでコーチ経験を積んできているし、ましてや、名門スタンフォード大学ともなると、人脈の広がりも半端ないだろう。あとは、T.Kの物怖じしない性格や抜群のフットワークの良さなのか。どれも要素としてあるのだろうが、果たしてそれだけなのか・・・。

 

なんとなく見えてきたのは、「チャレンジ」というキーワード。チャレンジを続けている人間に、人は惹きつけられるということ。なぜなら、その人間のもとには、チャレンジングな経験や実践を通して得た生の情報、つまり刺激がいっぱいあるから。大事なのは、「チャレンジ」を「続けている」ということにあるようにも思う。

 

T.Kに置き換えてみたら分かりやすい。今から10年前、身ひとつでアメリカへとわたり、アシスタントコーチからスタートした。その時、自分も含め、多くの人間が「できない理由」のようなものを並べたように思う。しかしながら、競争めまぐるしい中、諦めることなく、チャレンジを続けてきて、自身のポジションを確立しつつあるのだと思う。すると、自分も含め、「できない理由」のようなを並べていた人間は、手のひらを返したかのように「さすがだ!」「すごい!」と調子いいことを言い始める。

 

人間なら誰しも本来チャレンジしたいし、チャレンジに対する憧れのようなものがあるように思う。しかし、置かれている環境や状況、くだらない誇りやブライド、失敗やリスクに対してビビる自分、保守的な自分がそれらを邪魔する。チャレンジを続けている人の生の話を聞くことで、勇気が湧いて一歩踏み出せたり、また聞いた話を我が事のように人に話すことで、自分がチャレンジしているかのような感覚に浸っていたりするのではないだろうか。

 

また、すごい人たちは、すごい人たち同士で繋がっていると言うが(すごいという稚拙な言葉表現はともかく)、それも「チャレンジ」というキーワードがフックとなって繋がっているような気がする。チャレンジを続けてきている中で、それなりのポジションを獲得されたのだろうから、そういう人は、チャレンジを続けている人に同質の何かを感じるのではないだろうか。身勝手な憶測ではあるが、そんな風に思ったりする。

 

もう一つ浮かび上がってきたのは、「人のためにー」というキーワード。ひとつめのチャレンジとも関連するが、チャレンジを続けることを通して獲得できた、貴重な知識やノウハウを、自分だけのものとせずに、必要としている人のもとに確実に届けるということ。

 

これもT.Kに置き換えて考えみたい。T.Kは日本に帰国すると、スケジュールをめいっぱい埋め尽くし、各方面で精力的に活動している。実績あるコーチを日本に招聘しクリニックを開催したり、意見交換の場をセットしたり、また契約しているチームに意見やアドバイスをしたり、時には人と人とをつなぎあわせてみたり。日本のありとあらゆるところで、スタンフォード大学グッズを目にするようになったのは、T.Kが精力的に活動している証でもあるように思う。

 

これら活動は、ビジネスであり、営業活動とも言えるが、冷静に考えれば、当然の行為である。自らリスクを背負い積み上げてきた貴重な経験であり財産をマネタイズしない馬鹿はいないだろう。

一方、T.Kは、事あるごとに、「お前は後世に技術を伝えいく必要がある」といったような内容のメールをくれることがある。最近になって、それがT.Kの仕事観そのものであるということが分かった。どういうことかというと、アメリカンフットボールに限らず、海を渡ったからこそ見えた世界、そこで経験してきたこと・学んだこと、アメリカと日本それぞれにおけるスポーツの違いなどを発信し続けていく、伝えていく義務があると考えているように思う。そんな思いを根っこに据えながら発信活動を続ける中で、人との出会いがあり、つながりへと広がってきたのではないだろうか。これまた身勝手な憶測ではあるが、そんな風に思ったりする。

 

まあ、いろいろ書いてはみたが、今ふと思うことは、「チャレンジ」にしろ、「人のためー」にしろ、いずれも極めてポジティブなさまだということ。笑う門には福来たるではないけど、明るく前向きに、健全な心と体で、笑顔を絶やさずに生きることが基本にあるのかもしれない。まずは、このあたりから始めてみようと思う。

河田さん!素晴らしい出会いに、息子へのお土産、そして、たくさんの刺激をありがとうございました!!

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