できることを見つけて、まずは一歩を踏み出す

何事にも原点と呼べる出会いや出来事があると思います。私にとって、アメリカンフットボールの原点と呼べるものは、高校時代に凝縮されています。といっても、進学した公立高校には、アメリカンフットボール部が存在しなかったため、大阪チェックメイトというプライベートフットボールチームに所属し、毎週日曜日だけアメリカンフットボールに励むといった生活を過ごしていました。もちろん、学内のクラブ活動にも所属していましたが、中学時代からの延長線で入部したバスケットボール部を早々に退部した後は柔道部と陸上部(投てき)を渡り歩きました。

たった週1回、なぜそこまでしてアメリカンフットボールをしたかったのか。立派な理由を思い出そうとするも何ひとつ見当たりませんが、唯一あるとすると、アメリカンフットボールの強豪校でもある関西学院大学に通っていた親戚のお兄さんが試合映像を一緒にみながら、アメリカンフットボールの魅力をそれとなく教えてくれ、生まれつき骨太・下半身デブな体格の私にそれとなく勧めてくれたことが影響しているように思います。中学生ながらに見た目がたまらなくカッコよかったこと、お兄さんが語る魅力の中に“モテる”というキーワードが含まれていたことが心と体をより突き動かしたように思います。

そんな思いのもと、アメリカンフットボール部がある大阪の私立高校を受けるも不合格。アメリカンフットボール部もラグビー部もない公立高校に入学したのですが、アメリカンフットボールに対する強い憧れだけは薄れることなく、本屋に立ち寄っては専門誌を隅々まで読んでいました。そんなある日、専門誌アメリカンフットボールマガジンの巻末に小さく取り上げられていたプライベートフットボールリーグの記事を見つけ興奮したのを覚えています。

プライベートフットボールリーグとは。平たく言えば、草野球のようなものです。当時そのリーグの常勝チームだった大阪チェックメイトというチームの門を叩きました。私を含め高校生は2人だけ。その他メンバーはというと、現役大学生から30代の社会人までさまざま。高校や大学時代に経験された人がほとんどで、中には、第一線で活躍されてきた人もいました。

常識や一般論ではなく、自分の感性を信じて突き進む

高校アメリカンフットボール部に所属し、日々練習に取り組んでいる人たちから言わせれば、お遊びみたいなものでしょう。しかし、大学進学後は、何が何でもアメリカンフットボールをやると決めていましたから、毎週日曜日奈良から大阪に通うというのは何の苦でもなく、経験豊富な人たちから基礎だけでも教えてもらえるというのは、この上ない喜びでしかありませんでした。結局、大学受験に向けて、予備校に通うことは一度もありませんでしたが、私にとっての「予備校」が大阪チェックメイトでのアメリカンフットボール活動だったようにも思います。

また、冒頭にも書いた通り、学内のクラブを、バスケットボール、柔道、陸上・投てきと転々としました。アメリカンフットボールというスポーツにのめり込むあまり、バスケットボールよりも柔道、柔道よりも陸上・投てきの方が、アメリカンフットボールに通底する能力が身につくと考えました。科学的に分析したわけでも、誰かに相談したりアドバイスをもらったわけでもありません。例えば、もっとも長く在籍した陸上・投てきは、筋骨隆々な同じクラスの友達から下半身中心としたウエイトトレーニング、瞬発力を養うための様々な練習メニューを行っているということを耳にしたことがキッカケです。正直、競技自体には何ひとつ興味はありませんでした。日曜日に学内クラブの試合が重なることも多々ありましたが、迷うことなくアメリカンフットボールを優先していましたから、内心よく思ってなかった仲間もいたように思います。それでも、柔道で言えば、初段は受かりましたし、陸上・砲丸投げでは、奈良県ベスト8に入っていました(笑)

アメリカンフットボールはというと、経験を重ねるうちに試合出場機会も増え、レギュラーとしてリーグ優勝も経験することも、オールスターゲーム選出や個人賞を頂くこともできました。そして、浪人まっしぐらに突き進んでいた時、それら戦績をネタに、セレクションを受けれないものか考えはじめ、大学という大学に片っ端から電話連絡して相談してみたところ、いくつかの大学が歓迎してくれました。その中で、唯一合格したのが大阪体育大学でした。いま振り返っても、無知な高校生ながら行動力だけはあったなと、我ながら感心してしまいます。大阪体育大学を卒業した先々のことや、世の中からの評価や世間体などはどうでもよく、1部リーグのひとつでもある大阪体育大学スパルタンズの赤いジャージを着てプレーできることを考えるだけで、嬉しくてたまらず涙したのを思い出します。

ひとつのことを愚直に継続することではじめて、
学びを深化させることができる

本来であれば、高校生として勉強とスポーツを両立させるのがあるべき姿です。時代背景が異なるとはいえ、勉強そっちのけで、スポーツ中心の高校生活を過ごした私は、世の中から反面教師とされるべきでしょう。実際のところ、仕事をしていて、当時のツケだな・・なんて思いながら歯を噛みしめる場面もたまにあります(笑)その反面、この当時の経験から学びがあるとすれば、ある意味 勉強という選択肢を切り捨て、アメリカンフットボールのみを突き詰めると決めたところだと私は思います。そうした時にはじめて、週1回のアメリカンフットボールのトレーニングの場として学内のクラブ活動を活用するという非常識な発想、プライベートリーグ出身者にも関わらずセレクションを受けるなどという厚かましい発想が自然と生まれたように思います。また、レギュラーとしてリーグ優勝に貢献できたこと、個人賞が受賞できたこともそのひとつかもしれません。

ビジネスにおいても、日常的に大小さまざまな意思決定の場面がありますが、トレードオフであるということを自分によく言い聞かせています。また、意思決定においては、自身の感覚・感性を信じて決断すること、いかなる状況であろうとも、決断したことを愚直に継続する、やり切ることということを意識しています。それでも、プロセスにおいて、ついつい不安に感じたり、軸がぶれそうになることもあります。そんな時はこの原点を思い返すようにしています。

「ビジネスで大切なことはすべてアメリカンフットボールから学んだ」といったタイトルで書いていますが、アメリカンフットボールをはじめスポーツ自体に価値があるというよりかは、ひとつのことを愚直に継続すること、突き詰めることではじめて、学びを深化させることができるという点に改めて気づかされます。

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