動画の活用を通じて顧客の経営課題の解決に貢献

動画ベンチャーの、株式会社LOCUS。「動画を科学する 人×テクノロジー×データ」というビジョンを標榜し、マーケティング、企業コミュニケーション、HRの3領域を柱に動画活用のコンサルティングサービスおよび動画制作サービスを手がけている。動画制作サービスにおいては、厳選した600人以上の業界トップレベルのフリーランス・クリエイターを登録、あらゆるテイストや価格帯の動画制作を可能にしている。代理店を介さないクライアントとの直取引が多く、リーズナブルな価格と高い品質の両立を実現。2010年4月の設立以来、7年間で1000社を超える取引実績が何よりも同社のサービスへの高い評価を表しているといえるだろう。

動画の用途としては、企業PR、商品・サービス紹介、営業案内、採用ツール、社内マニュアルなど様々。

「もっとも、お客様の真のニーズはこうした動画を作ることではなく、経営上の様々な課題を解決することにあります。動画はあくまでもそのための手段と捉えています」と代表取締役社長の瀧良太氏は言う。同社が目指しているのは、動画だけでなくWebや印刷メディアの制作から、各種広告の配信・効果測定、さらに改善提案までを担う総合的なコンサルティングにある。

“動画をもっと手軽に”という創業の精神がある同社は、2015年に動画をより安く簡単に利用できる独自サービスの「FastVideo」をリリースした。用意された多彩なテンプレートに、画像や動画などの素材をパズルのように当てはめるだけ。3ステップ・最短5分で1本あたり数千~1万円という低コストで動画を制作できる。

「優秀なクリエイターが担当する場合、どんなに抑えても1本あたり数十万円となります。価格をリーズナブルに抑えながらも一定の質の動画をつくりたいというお客様の要望に応えたサービスです」と瀧氏は胸を張る。

優秀な人材にアプローチしやすい新卒採用

創業から7年間で社員数50名弱まで着実に成長してきた同社。“真面目で素直で誠実に”というクレド(行動指針)を掲げているが、これをそのまま採用する人物像としている。

「短期的に収益を上げてIPOなりバイアウトするといったことが第一と考えるのならば、もっと違った人物像のほうがいいと思いますが、当社は長く続けることを考えています。そうであるならば、“真面目で素直で誠実”という人材集団にすべき、と考えました」と瀧氏。

創業4年目の2013年度入社から新卒採用を始め、新卒者は50名弱のうち10名を占める。5年間で13名を採用し、退職者は3名と定着率は高い。

2018年度は4~7名が入社する予定である。「当社は中途採用も積極的に行っているが、今後は新卒を増やしていきたい」と瀧氏は言う。新卒採用は、より優秀な人材にアプローチしやすいと考えているためだ。瀧氏は次のように指摘する。

「中途の場合、真に優れた人材はコア人材として活躍しているか、転職を希望している場合も行きたい先が具体的に決まっている場合が多く、求人メディアなどに頼らない人が比較的多いのではないでしょうか」

一方、新卒者は社会人教育などを一から行わなければならず、戦力化するまでに時間や手間がかかるデメリットが指摘されている。人材育成に人手やコストを割けられないベンチャーや小規模企業が即戦力人材を求めるのは、このためだ。しかし「デメリットは特に感じない」と瀧氏。

「当社が手がけている動画活用コンサルティングは新しい領域であり、過去の知識や経験が通用するとは限らないからです。優秀な新卒者の場合、入社数カ月で活躍をし始める者もいます」

スクリーニングされた学生を積極的に採りに向かう姿勢

新卒採用を重視しているだけに、そのプロセスには工夫を凝らしている。最初の接点づくりとしては、①インターンシップ、②少人数型採用イベント、③ベンチャー特化型新卒紹介サービス、④新卒版ダイレクトリクルーティングサービス、の4種類を利用。

昨年度のインターンシップでは、同社が立地する渋谷区の観光協会や、日本のサブカルチャーを発信しているTokyo Otaku Modeに協力してもらい、学生に「FastVideo」を使って外国人観光客招致用の動画をつくってもらうというプログラムを実施。作品は審査し最優秀賞には10万円を贈呈する。また、同社のクライアントに協力してもらい、実際にクライアントが抱えている課題をヒアリングして動画の企画を立て、プレゼンテーションするという実践的なプログラムも行っている。

「本当に優れたものは実際のお客様への提案に使うと言っているので、みんな真剣に取り組んでくれていますね。着眼点や企画力がよくわかるので、採用方法としては非常にいい手応えを感じています」

少人数型採用イベントは、“ベンチャー”や“広告業界”といった志望先に絞り込んだ学生を100名ほど集めたもの。新卒紹介も、ベンチャー志向の学生に特化したサービスを利用。いずれもある程度スクリーニングされた学生に効率的にアプローチできるメリットがある。新卒版ダイレクトリクルーティングサービスも含め、同社のほうから積極的に学生を採りに向かう姿勢が強いといえるだろう。

「従来型の就活サイトは、インターンシップを募集するものだけ利用しています。手間を含めた費用対効果を考えて、この4つのルートに帰着しています」

提出期限がない“入社申請書”で
100%自らによる入社の意思固めを待つ

こうして同社に興味関心を持った学生に対し、瀧氏が会社設立の経緯や事業展開および意義、今後のビジョンなどをじっくり話す会社説明会を行う。「特に事業の意義について重点的に話す。そこに共感してもらえなければ、どれほど優秀な人でも当社では活躍できないと考えるからだ」と瀧氏。その後、瀧氏はじめ役員や学生と相性の良さそうな社員との面接を3回ほど行う。その間に、実際に名刺を印刷し営業や撮影現場に同行する“1Dayインターンシップ”を挟む。説明だけでなく実際に現場を見て業務への理解を深めるとともに、風土を肌で感じ取り、就業への意思を固めてもらうことが狙いだ。

選考は、面接に当たったメンバーと人事担当者による合議制で行い、1人でも反対すれば採用は見送るというルールにしている。

「そういう意味でも厳選していると思いますので、当社の人材基準が担保できているように思います」

そして、採用を決定した学生には内定を言い渡して承諾書を取るのではなく、学生に“入社申請書”の提出を求めている。その狙いを、瀧氏は次のように説明する。

「当社は、入社は自らの意思で決めるもの、という考え方を取っています。ですから、自ら“入社申請書”を書き、保護者のサインまで求めて腹を固めてもらっています」

この“入社申請書”には提出期限がない。100%、自ら入社の意思で入社を決めることを待つためだ。ただし、提出した時点で採用枠が埋まってしまっていると採用は見送りとなる。「そのことをあらかじめ学生に伝え、意思決定を促進しています」

保護者の自社への理解や関係構築を促進する“実家訪問”

同社の工夫はまだある。入社が決まった新卒学生の実家に、挨拶しに瀧氏が足を運んでいることだ。採用難の今、同様のことを行う企業が出始めているが、瀧氏は新卒採用を始めた当初から行なっている。これまで、北海道から長崎まで13名の実家に赴いた。

「親御さんに当社をきちんと理解していただきたいことと、大事なお子さんを預かる重大な責任があるというプレッシャーを自らにかけること、そして、採用した人材のバックボーンを知ることで、マネジメントに生かせるのではないかといった狙いがあります」

さらに、訪問時のコミュニケーションを通じて親しい関係をつくることで、家族を含めた一体感をつくる効果もあるようだ。

「当社では、入社式で新人の親御さんからの手紙を読み上げたり、新人賞を受賞した社員の親御さんのビデオメッセージを流すというサプライズを演出しています。リレーションができているので、そういうこともお願いしやすくなりますね(笑)」

今後の課題として、教育研修体系やナレッジマネジメントの構築を挙げる。こうして、規模の拡大とともに組織体制の強化を図り、さらなる成長を目指していく構えだ。

会社名
株式会社LOCUS
所在地
東京都渋谷区道玄坂2-10-7 新大宗ビル2号館15階
資本金
5,000万円
従業員数
50名
事業内容
動画マーケティングコンサルティング、動画企画制作ほか
ウェブサイト
https://www.locus-inc.co.jp/